平成23年度 水道事業経営方針

 平成23年3月定例議会において、企業長が申し述べた「水道事業経営方針」を掲載します。
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前文

 平成23年3月定例会をご招集申し上げましたところ、議員の皆さまにはご健勝のうちにご出席をいただき、厚く御礼申し上げます。
 本定例会におきまして、新年度の予算案及び議案をご審議いただきますが、越谷・松伏水道企業団の経営方針を申し述べ、議員各位並びにお客さまのご理解とご協力を切にお願い申し上げます。

平成23年3月29日
越谷・松伏水道企業団
企業長  福岡 章

 

  昨今、水ビジネスという言葉が新聞紙上やテレビなどでも報道されております。社会・経済のグローバル化や新興国の生活水準の向上などを背景に水道に関する市場の拡大が見込まれることから、水道水を直接飲むことができるわが国の優れた水道技術や管理ノウハウを活用し海外に進出しようとする動きが活発になりつつあります。これらは、水道事業体の経営状況が厳しさを増していることも背景にあるものと考えますが、水道に関する高度な技術や体力を有する団体は少数であるというのが現状でございます。全国的に各家庭等における使用水量が減少し給水収益が減少する中、水質に関する安全性の確保や老朽化する施設・設備の計画的な更新に対する必要性は高く、その財源確保に多くの水道事業体が苦慮しているところであります。このことは、厚生労働省が提唱する水道事業体の広域化や公民連携の推進機運が高まっていることの背景とも言えます。
 埼玉県においては、地域水道ビジョンである水道整備基本構想の見直しが行われ、特に将来を見据えた水道事業体の広域化に積極的に取り組むこととしています。また、3年ごとに見直しが行われている県水の料金については、平成23年度から25年度までの間、これまでと同じ単価とすることが示されております。
 当企業団においては、他の事業体と同様に人口一人当たりでみた水の使用量は減少しているものの、人口が増加していることや、昨夏の猛暑の影響もあり、平成22年度の配水量は前年度と比べて若干上回っております。給水収益についても供給単価の低下は見られるものの、全体としては前年水準を確保できるものと見込んでおります。経費の縮減や人件費の抑制を図るなど効率的な経営に努め、純利益も例年並みに計上できるものと見込んでおります。水道事業基本計画2006(後期見直し)
 これらの状況を十分に考慮し、平成22年度には「水道事業基本計画2006」の後期5年間について見直しを行いました。現状の分析やお客さまアンケートなどから、水道事業に関してはある一定の満足をいただいているものと考えますが、これから計画している施設や設備の更新を考慮すると、水道事業体の使命である安全な水の安定供給を維持していくには、さらに経営の健全性に配慮していく必要があります。
 「水道事業基本計画2006」を着実かつ効果的に進めることができるよう、平成23年度の予算編成にあたりましては、「新たな気持ちで取り組む、お客さまサービスの向上と効率的な経営」をスローガンに掲げ、予算及び実施計画を取りまとめいたしました。その結果、収益的収支では水道事業収益において、前年度比5,700万円の増額とし、これまで企業債の繰上償還など経費の縮減や人件費の抑制を図ってきた効果などから、収支では4億3,000万円の収益を見込むことができました。
 なお、平成23年度は配水量の動向や人口の増加を考慮し、計画配水量を前年度より70万立方メートル増の3,970万立方メートルといたしました。
 それでは、順次、「水道事業基本計画2006」の基本方針に沿って、主要な施策についてご説明申し上げます。
 

第1の柱 安全な水の安定給水をめざして

 まず、第1の柱である《安全な水の安定給水をめざして》では、水道施設は社会・経済活動を支える重要なライフラインであることから、常日頃の維持管理はもとより、既存の老朽配水管を新たな耐震管へ布設替を進めるなど、災害時への備えが急務となっております。
 水道施設の維持管理については、漏水による水資源の損失を防止するため、平成23年度は越谷市南東部地区において漏水調査を実施し、漏水箇所の速やかな修繕により有収率の向上を目指します。
 配水管網の整備といたしましては、土地区画整理事業地内や都市計画道路等の新設道路整備に合わせ、新たな配水管を布設してまいります。また、土地区画整理事業施行者の依頼に基づく受託工事につきましては、それぞれの事業進捗に合わせた配水管布設工事を行うとともに、構成団体の公共下水道整備に伴う配水管切廻し工事等を行ってまいります。老朽配水管の更新事業につきましても、前年度に引き続き国庫補助制度を活用しながら布設替を行ってまいります。
 これから配水管の布設ならびに更新事業等において耐震型継手を有する耐震管を採用することにより、平成23年度末の管路の耐震化率は約42パーセントとなる見込みでございます。耐震補強設計にとりかかる築比地浄水場
 施設の耐震化につきましては、前年度実施いたしました築比地浄水場の耐震診断により、PC配水池、RC配水池、急速ろ過池の構造物について耐震補強が必要との結果を得ました。これら施設の耐震化を実施すべく、平成23年度は耐震補強設計を行うとともに、併せて浄水場内の電気・機械・計装機器類の設備更新に向けた設計に取り組みます。
 また、平成24年度以降に予定する築比地浄水場の耐震補強工事期間中の補完措置として、西部配水場のポンプ増強に向けた設計に取り組みます。
 東部配水場につきましては、通水以来29年間稼動している4号ポンプについて、安定した配水を確保するため更新いたします。
 また、大袋浄水場跡地については、西大袋土地区画整理事業の進捗に合わせて整備を進めてまいります。
 企業団庁舎内にある中央管理室の監視機器類につきましては、改修以来10年以上が経過していることから、平成24年度以降の更新に向けた設計に取り組みます。
 水質に係る分析機器につきましても、老朽化に伴う精度の低下や故障によるデータの欠測などがないよう、毎年計画的に更新してまいりましたが、平成23年度は水銀分析計の更新を行い、正確性、迅速性を有した検査体制を確保してまいります。H22年度.水道ボランティア研修
 未曾有の被害をもたらしたこの度の東北地方太平洋沖地震では、未だ被災地の飲料水確保のための様々な支援活動が続いております。一度大規模な災害が発生すると、救援機関の活動は著しく制限されることが予想されます。大規模な災害や事故の発生に備え、平成19年から実施しております水道ボランティア制度につきましては、引き続き企業団勤務経験者など水道事業に関する知識や経験等を有する方々にご協力いただき、災害発生時における情報収集や応急給水活動などの体制強化に努めてまいります。また、研修会や防災訓練への参加を通し、災害時に迅速に対応できるよう、水道ボランティアとの連携を深めてまいります。
 各自治会等が実施する防災訓練に積極的に参加し、地元住民の皆様に対し、耐震型緊急用貯水槽の仕組みや使用方法について周知を図るとともに、災害時における水の重要性や水の確保の必要性など、引き続き周知・啓発を行ってまいります。
 さらに、感染症対策として、新型インフルエンザ行動計画に基づき、基幹業務である水道水の供給が円滑に行えるよう、引き続き感染症防護対策セット等を備蓄してまいります。
 給水装置の新設、改造等の工事に関しましては、無届け工事や指定工事事業者以外による工事を防止し、適正な施行が行われるよう広報等により周知を図るとともに、毎年開催している指定給水装置工事事業者研修会や窓口における申請等を通し、指導の徹底を図ってまいります。
 

第2の柱 給水サービスの向上をめざして

 次に、第2の柱である《給水サービスの向上をめざして》では、長い年月を経過した配水管やバルブの中に付着した錆などの剥離による赤水やにごりの発生を抑制するため、平成23年度も引き続き配水管の洗浄作業を実施してまいります。
 また、給水不良箇所や道路内に輻輳する給水管の解消に向け、特定配水管布設工事を計画的に行ってまいります。
 さらに、配水管からお客さまの蛇口にフレッシュ給水を行うため、戸建ての新築や改築等の際には直結直圧給水方式を、また、中高層建築物などでは増圧ポンプによる直結増圧給水方式の採用を促進し、新鮮な給水が可能となる世帯が増加するよう取り組んでまいります。
 お客さまと一体となった水道事業経営を実現するためには、お客さまの声を真摯に受け止めるとともに、水道事業に関する理解を深めていただくことが肝要と考えております。水道モニター講座・耐震型緊急用貯水槽の見学平成22年度に実施したお客さまアンケートでは、水道水の水質への関心は高いものの、水源や浄水処理などについては余り知られていないという結果でありました。これまで、水道だよりやホームページ、水道モニター制度、出前講座等を通じて、水道事業経営や水質管理、災害対策などについてお伝えしてきましたが、今後は、それぞれの広報広聴活動を有機的に連携させ、水道事業に対するお客さまの理解と信頼性の向上に努めてまいります。
 水源地域との交流事業を通して、水道水がどのように造られるかを知っていただくとともに、限りある貴重な資源である水の大切さをご理解いただくため、引き続き親子水道教室と一般の方を対象に実施する水道教室を開催してまいります。
 また、毎年、水道週間に併せて開催している水道フェアをはじめ各種イベントを通じて、「安全・安心な水の安定供給」について積極的なPR活動に努めてまいります。
 情報化の進展は、便益を享受できる反面、情報漏えい等の危険もはらんでおり、重要な個人情報を扱う公営企業として情報セキュリティポリシーの遵守や内部監査の実施、さらに機器使用におけるセキュリティ対策などを実施してまいりました。今後も、情報セキュリティや情報リテラシーなど、運用面における情報資産の安全性の確保に努め、お客さまの信頼性の向上につなげてまいります。
 

第3の柱 持続可能な水道事業経営をめざして

 次に、第3の柱である≪持続可能な水道事業経営をめざして≫では、水道事業経営の存立基盤である料金収納を確実に行うことがなにより重要であります。収納率の向上に向け、未納者への早期訪問、早期徴収を行うとともに、未納者に対し支払い督促や支払い約束書の提出を求め、未収金の回収に努めてまいります。
 安定収入につながる窓口納付制から口座振替制への切替えについては、引き続きあらゆる機会をとおしてPRを行い、収入確保の推進に努めてまいります。
 事務改善といたしまして、内部事務の効率化に向け、水道料金システムの整備を図ってまいります。契約事務につきましても、より公正で透明性の高い入札・契約手続を推進するとともに、入札に係る事務の簡素化や経費縮減のため、埼玉県電子入札共同システムを活用した電子入札制度を導入いたします。
 ご案内のとおり、全国的には人口の減少局面を迎えており、当企業団の区域内給水人口近い将来ピークを迎えることが見込まれます。給水収益も減少傾向にあり、施設整備の重点も新設から更新へと移行するなど、経営状況は厳しくなっていくことが予想されます。持続可能な水道事業経営を目指し、将来負担となる企業債の借入等を極力抑制し、今後も経営健全化計画のもと、高利率の企業債に対する公的資金補償金免除繰上償還を行うなど、経営の安定化を図ってまいります。

 

 長年にわたって築き上げられてきた、蛇口から直接水が飲める世界トップレベルの水道は、私たちの生活や社会を支える基盤として、当たり前のことのように認識されてきました。しかし、この度の東北地方太平洋沖地震で、災害に対する備えとライフラインとしての水道の重要性について改めて思いを強くし、経営意識というものを高めていく必要性を強く感じたところであります。「水道事業基本計画2006」を見直すにあたり、私たちはガバナンスというテーマで、お客さまと一体となった水道事業運営や職員意識の向上について検討を行いました。そこで得たのは、もっとお客さまを知ること、お客さまとのコミュニケーションを推進すること、そして、お客さま価値とは何なのかということを当企業団が再認識することでした。お客さまが水道事業のよき理解者、すなわち水道サポーターとなっていただけるような取り組みを目指していかなければならないということでした。
 「水道事業基本計画2006」後期見直しの初年度にあたり、今後は事業の実施効果を水道事業ガイドラインに基づく業務指標などに基づいて分析し、施設の状況や業務効率、サービス水準、経営状況がどのように変化しているかを評価し公表してまいりたいと考えております。このことは、広報広聴業務の充実を併せ、お客さまの水道事業に対する理解を深め、お客さまと一体となった水道事業運営をしていく上で基礎となるものと考えます。

 以上、主要事業について申し述べましたが、新年度も水道事業の運営に最善の努力を傾注し、職員一丸となって安全な水の安定供給に努め、お客さまに満足いただけるサービスを提供してまいります。議員の皆様、越谷市・松伏町のお客さまには、限りないご指導とご理解、ご協力を、重ねてお願い申し上げます。