平成22年度 越谷・松伏水道企業団水道事業報告書

事業期間 平成22年4月1日から平成23年3月31日まで

  概況

 総括事項

  

  平成22年度は、夏季における記録的猛暑、年度末においては東日本大震災が発生し、世界最大級のマグニチュード9.0を記録した地震とそれに伴う津波により未曾有の被害がもたらされたことから、強く記憶に残る年となりました。また、震災による東北地方の太平洋岸を中心とした都市の被害は甚大であり、放射性物質の影響を含め、製造業や農業、漁業などの産業に加え日常生活までもが受けた被害は計り知れず、回復にはかなりの期間を要することが見込まれます。

  政府においては、平成22年6月に『新成長戦略 ~「元気な日本」復活のシナリオ~』を打ち出し、「経済社会が抱える課題の解決を新たな需要や雇用創出のきっかけとし、それを成長につなげよう」とし、翌年1月には『新成長戦略実現2011』を掲げました。しかし、東日本大震災によりエネルギー・環境政策の見直しは必至であり、日本社会・経済における混迷は深まるばかりの感があります。この大震災により電力施設が被災し、電力不足から地区を順番に停電させるという計画停電が実施されました。また、福島第一原子力発電所の被災により放射性物質が拡散し、発電所周辺のみならず、当企業団の近隣浄水場において乳児の摂取制限の指標値を超える数値が計測されるなど、水道水の安全性とともに、これまで築き上げてきた水道事業への信頼を崩しかねない危機となり、各水道事業体においては安定給水や水質検査の充実への取り組みが急務となりました。

  水道事業を取り巻く環境は、引き続き各家庭における水道使用量が減少する中での施設や設備の更新が課題となっており、公民連携や広域化についての議論が盛んな一方、県や政令指定都市等の自治体においては、水道事業の海外展開を主とする「水ビジネス」への取り組みが報道等で取り上げられるようになってきました。

  当企業団におきましては、平成22年度の年間配水量は、人口の伸びや猛暑の影響もあり昨年度に引き続き前年を上回り、給水収益も昨年度を上回る結果となりました。一方、支出においては、これまでの企業債の繰り上げ償還や人件費の縮減など全体を通して経費節減に努めてきた結果、損益収支においては752,485,802円の純利益となりました。

§   給水・配水状況

給水人口  359,667人(平成23年3月31日現在)
年間配水量  39,628,743立方メートル(家庭・店舗等で使用された水)
水源の内訳  90.53% 35,876,064立方メートル(県浄水場から送られてきた水)
                     9.47%  3,752,679立方メートル(くみ上げた地下水)

※1日平均配水量108,572立方メートル(年間配水量/年間日数)

  1日最大配水量120,581立方メートル(平成22年12月31日)

§   収益的収支について

収益的収入(水道料金などの収入)、収益的支出(水を届けるための費用 )との収支です。

§   資本的収支について

資本的収入(国からの借入金や加入者分担金などの収入)、資本的支出(安全な水を安定して送るために必要な施設整備や配水管布設工事などの費用)との収支です。

§   建設事業について

配水施設拡張費     8,540万円を支出(事務費等を含む)

       内訳      現年工事分                     5,941万円

配水施設改良費     14億8,565万円を支出(事務費等を含む)

       内訳      自主工事現年度分    7億3,688万円

繰越分         3,506万円

                受託工事現年度分       2億0,559万円

                      繰越分     3億8,632万円 

  本年度の導水管と配水管布設距離は21,358mで、布設替による除却6,186mを差し引くと、年度末の総延長は約1,243kmになりました。

  また、消火栓は越谷市に28基、松伏町に1基を設置しましたので、年度末総設置数は5,707基になりました。

・ 東日本大震災への対応について

 

  平成23年3月に発生した東日本大震災は、マグニチュード9.0を記録した大地震による災害に加え、10mを超える津波や液状化現象なども引き起こし、北海道から関東にいたる太平洋岸の水道施設に甚大な被害をもたらしました。

 当企業団管内におきましては、配水管等に小規模の漏水が確認されましたが、2日後には漏水の修繕も概ね完了いたしました。浄・配水場における被害はなく、埼玉県の浄水場も無事であったことから、給水が停止するなど市町民の生活を脅かすような被害の発生にはいたりませんでした。

 これまでも、阪神大震災や新潟県中越地震などの発生の際には、積極的に給水応援隊等を派遣してまいりましたが、日本水道協会関東地方支部の要請の下、翌12日の未明には茨城県稲敷市に向け応急給水のため職員4名を派遣しました。活動は2日間にわたり、計9回の応急給水活動を実施しました。

 また、震災に伴う東京電力株式会社の電力供給不足により計画停電が実施され、企業団庁舎をはじめ南部浄水場、北部配水場、西部配水場が停電となりましたが、自家発電機を使用することにより配水量を確保し、対応を図りました。

 

  平成22年度は、「水道事業基本計画2006」における平成23年度以降の後期5年間の計画を見直しました。浄・配水場や中央管理システムなどの老朽化への対応、計画的な配水管の更新は大きな課題ではありますが、管路の耐震化率や経営状況などは概ね良好な状況にあります。また、お客様への調査からは環境に対する意識の高まりが見られるものの、水道事業に対しては一定の満足をいただいていると想定されます。しかしながら、大震災のたびに注目される水道水の安定供給の重要性に加え、今回は原発事故が加わり、大きな地震被害を受けずとも水質に対して危機が存在することが明らかとなりました。放射性物質により原水が汚染されるという事態に、いかに飲料水を確保するかの重要性を再認識するとともに、さらに水道事業や水道水に対する理解を深めていただくことや、緊急時の広報手段のあり方などの課題が浮き彫りとなりました。また、日頃より飲料水の備蓄についても周知に努めておりますが、非常時、緊急時の際に大きな混乱を避けるためにも、その必要性や重要性について一層啓発に努めなければならないと認識するなか、水道事業基本計画に掲げる「安全な水の安定給水をめざして」「給水サービスの向上をめざして」「持続可能な水道事業経営をめざして」の3つの柱を基本に、構成市町や関係機関と連携してお客様に信頼される水道事業の構築を目指し、職員一丸となって取り組んでまいります。